誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)
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■レビュー
- 平均評価(5段階)
ぴくしー 2009-10-15
1998年に東京新聞出版局から出た単行本の文庫化。
ただし、第7章は書き下ろし。また、ストイコビッチとディバッツの対談が新たに収録されている。
ピクシーことストイコビッチのサッカー人生を取材し、一冊の伝記としてまとめたもの。
ユーゴの内戦と、制裁としてのユーゴ・サッカーへの国際的圧力、それにともなう代表チームの荒廃がメイン・テーマとなっている。
逆境のなかでピクシーが暴走し、やがて力強く活躍しはじめる姿が印象的に描かれている。ピクシーのファンのみならず、現代政治への関心がある人にもお薦めできる一冊だ。
文庫化で書き足された部分が、本書だけでは良く理解できない。姉妹編の『悪者見参』と合わせて読むべきなのだろう。
歴史の偶然に「ありがとう」と言おう 2009-03-13
現名古屋グランパス監督、ストイコビッチの評伝。
改めて読み返すと、これほどの選手が、これだけ長い間日本で活躍してくれた偶然に感謝
せずにはいられない。ユーゴが国際制裁を受けていなかったら、オリンピック・マルセイユ
が八百長疑惑で二部に降格していなかったら…。
とにかく、本書は著者の実質的デビュー作であり、氏のピクシーに対する想いと言うのが
文面から迸っています。ただ、背景を知らない人にはユーゴ紛争の件を本書だけで理解する
のはかなり難しいと思います。
そういう意味では、同じ著者が書いている「悪者見参」(これもすごいタイトルですが…)
を先に読んだほうが楽しめると思います。
ピクシーという入り口からユーゴ問題を理解する 2008-03-27
名古屋グランパスで活躍した、ピクシーことドラガン・ストイコビッチの伝記だ。天才的サッカープレーヤーが、最もよい年齢の時に祖国の崩壊と、それに伴う国際大会からの閉め出しに失意して、極東のサッカー後進国の弱小チームに来ることになる。彼はチームを優勝に導き、年齢を乗り越えて、国際大会に復帰し活躍する。その道程を、ピクシーとユーゴサッカーに対する深い尊敬と愛情をもってまとめている。たいへんお薦め。
これが、木村元彦のデビュー作だ。彼は、その後、サッカーよりユーゴ情勢に傾いて、『悪者見参』『終わらぬ「民族浄化」』と佳作を発表する。本書でも、ユーゴ情勢は背景として重要であるが、むしろ、ピクシーと周囲との関連・葛藤に焦点が当てられている。実際、著者も本書執筆時点では、ユーゴスラビアの深刻な状況をそれほど深く理解していなかったようだ。本書の取材で、ユーゴに行った際の記録にも、ナイーブな質問をして、現地のサッカー関係者に呆れられている。そう言う意味では、本書が木村元彦の原点になって、それから、ユーゴ情勢にのめり込んでいったのがよく分かる。私はイビチャ・オシムという人に興味をもって、『オシムの言葉』を読み、木村元彦を知り、『悪者見参』『誇り』と時間を遡って読み進んだので、却って、彼の政治意識の深まりを感じた。一連の著作は、良い入り口から入って、粘り強く掘り続けた成果だ。
処女作だからか、ユーゴ情勢に深入りする前だからか、その後の作品のような深刻な重苦しさはない。でも、この明るさ(と言っても、その後の作品と比較すればね)はその後の作品の後に読むと清涼に感じられた。サッカーについて少しでも興味があれば、きっと楽しめるだろう。
ストイコビッチの波乱に満ちたサッカー人生の記録です 2007-01-16
ユーゴスラビアという国が戦争、解体していた激動の時代をサッカー選手としてどのように感じながらプレイしていたかというのが分かります。
基本的にストイコビッチについて書かれていますが、これを読むと当時のユーゴスラビアの状況も分かります。
現在も続いている激動の時代において、ストイコビッチという選手は国民に対して希望を与え続けていたのだと感じました。
今後もストイコビッチがセルビアと日本に対してどのように関わっていくのか注目していきたいと思いました。
ピクシーの偉大さを再認識 2006-12-24
かつてユーゴスラビア代表として活躍し、Jリーグ名古屋で現役を終えたストイコビッチのサッカー半生記。セルビア・モンテネグロサッカー協会の会長を経て、現在は鈴木隆行が在籍しているレッドスター・ベオグラードの会長を務めています。
優れたサッカー選手としてだけではなく、ユーゴ内乱という激動の時代に代表チームの精神的支柱としてもキャプテンシーを発揮する姿が描かれていますが、偏狭なナショナリズムではなく本当に心の底から祖国を愛する姿にその偉大さをつくづく再認識しました。


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